第95章 おじいちゃんに何かあった

「……出てって」

南坂海乃は黒谷優を見据え、可笑しくてたまらない、という顔をした。瞳の奥にあるのは嫌悪と憎しみだけ。

かつて自分が彼を愛していた頃、黒谷優は薄情で、氷みたいに冷たかった。

なのに今さら愛だなんだと囁かれても、胸に湧くのは苛立ちだけだ。

南坂海乃は、黒谷優のまっすぐだった背中がふっと崩れ、扉のほうへ向かっていくのを見送った。

視線を引っ込めた瞬間、腹の底がぐちゃりとする。まるで汚物でも飲み込んだみたいに、気持ち悪い。

どういう神経をしていれば、二人の女のあいだをふらふら揺れることを「愛」だと思えるのか。

両方欲しがる人間は、結局どっちも失う。

黒谷優が外へ出ると...

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